私たちがつくるのは、
暮らしを静かに支える「背景」です。
素材は、語りすぎない。
空間は、主張しすぎない。
背伸びはしない。
けれど、粗雑になることもない。
数を抑え、関係を整え、
丁寧に選ばれた要素だけで構成された、
どこか柔らかな優しさを感じる、潔い空間。
それは流行のためではなく、
時間とともに馴染んでいくためのかたちです。
足し算を重ねるのではなく、
引き算の末に残った「ちょうどよさ」。
過不足のない構成は、
暮らしに余計な判断を求めません。
気を張らずに使えること。
手入れが負担にならないこと。
暮らしが無理なく続いていくこと。
そうして整えられた日常の中で、
ある日ふと、
季節の移ろいや、
光の陰影に気づく瞬間が訪れます。
それは、
何かを演出した結果ではなく、
ただ、暮らしが落ち着いた場所に
戻ってきただけなのかもしれません。
「これでいい」と思える、
控えめだけれど、確かな満足感。
肩の力を抜いて、
自分たちらしく、機嫌よく暮らせる場所。
住まいは、
暮らしの背景であり続けます。
図面を描き、現場に立ち、
その先の暮らしまで。
そろそろ50年。
変わらぬ歩幅で、つくり続けています。



